IIMURO tetsuya
Exhibition

works(作品)
text 終わりなき〈意識のさわり〉の営み

11:30a.m.〜7:00p.m
(最終日5:30p.m)

 

個展によせて

飯室哲也

 

個展 2001年度(6/18〜6/30)

ここのところ数年、私は「線状の空間感覚」という主題に、「私的過現の混在」と副題を付けている。これは現在私が制作を進めていく上で、或いは、制作を継続していく上で、私のこれまでの表現の個人史を、 二次元および三次元空間の中に混在させたいという観念が、私の原動力になっていることに由来している。
そして、私が何かに反応して表現する関係の中で、私は多数の事の幅の中にいたいという想いがあるので、このこととも個人史の引用は連なり、又、この引用はそのことの一つの実際化であり、そのための一つの方法でもある。
  今回この流れの中での制作となるのだが、友人への追憶を含めたかたちで、以前より制作中の未完の「線状の空間感覚」を終わらせたいと思う。
  この作品では、私がその都度反応しながら制作した年度の異なる部分も混在する。この作品のために反応した部分もあれば、 全く関係のない部分も ある。それらが寄り集まり、現在の私が感応する「線状の空間感覚」へと変容させたいと思う。

友人への追憶
私事としての私たちの次代と
私自身への追憶
これが
時間を切れ切れに裁ち、放ち
再度
私の手の中で
今への攻撃の刺を
磨いていると

  以上は、昨年の眼の座標XI(2000年4月、代々木アートギャラリー、石村実氏と)のカタログヘのコメントである。
  今回のギャラリー檜での個展では、この時期に同時進行で制作を進めた、ペインティングを共通項にした作品を、壁面を中心にして展示する。
  この作品を制作中に記した作品設定図上には、以下のメモが他の断片的なメモと一緒に残っている。

……ペインティングという共通項のもとで、個人史の時間をコラージュするということが、壁の前で個人的な出来事の類・積として集合されることで、良くも悪くも、その個人の像を少しは結んでくれるのではないか。それは、点の時間の断章が、壁の前の面の類・積へと変奏されるのでないかという、個人的な想いによるのですが。

このメモの実現に向けて、具体的には、紙レリーフ(1997年作)、紙面へのペインティング(NO.1〜NO.13,NO.1〜NO.28−2000年作)、空間の中でWork・5の解体Cell(1996年作)、デカルコマニーのライン(NO.1〜NO.14−1998年作)、メモリーS(1〜9−2000年作)、および、200 1年作のパーツその他を用いて、画廊空間の壁面を中心にして、可能な限り展示する予定である。2001年5月12日記

 以上の文章は、前回のギャラリー檜での個展の時のコメントである。
  2003年3月初頭の会期で、ギャラリー檜での個展開催のお誘いがあったとき、2001年6月に開催した前回の個展と比較して、今回はどのようなかたちで作品を発表しようかと、私は想像した。
  前回発表した「Memory・ペインティング」に続く、その後の作品は現在余り進行していない。それで、すでに私の手元にある未発表の作品にしようか、今回の個展のための新しい設定にしようかと。
  具体的には、ペイント(いろいろな手触りで、色料や物質などを塗ること)が、中心の表現となる平面系の作品のみで構成するか、或いは、床面までを含んだ空間の設定を表現する系の作品を新たに制作するかであった。結果的には、私は後者の作品を制作することとなった。
  私は、今回の作品を制作するにあたり、2001年の個展の作品を写したビデオ映像を見た。ビデオ映像を見ながら私は、自画自賛ではなく、なかなか面白い作品であると確認した。
  この個展での作品は、前述のコメントにもあるように、年度の異なる制作物を壁面上に、制作年代を交錯させながら展示していく設定の作品であった。ほぽ正方形の展示室や通路の壁面に合うように、ある部分は短くカットして展示した。それでも年代の異なる制作物が、それぞれ異物感を保持しながら、空間の光景を現していた。
  テレビに映し出される自作を見ながら、今回の作品については、もう少しシンプルなかたちで設定しようと思い、それで、私は、線状の空間の系で今回は制作することとし、ギャラリー檜の室内空間を想起しながら、線状のドローインクを始めた。
  ドローイングをしながら私は、自分が想い描くことの結果をみると、自分を飛躍させる新しい表現が少ないということだった。つまり、緑性とペイントに依拠することから、表現を飛躍させようと考えてない自分を確認することとなる。
  平たく言えば、自分が見慣れていることの繰り返しをするのである。
  自分が見慣れていることの繰り返しが、展開される空間であり、そこでは、それなりの質は保持され、私の好みの空間が実現され、又、表現されることとなる。
  その中では、新しいことの内に入らないかも知れないが、壁から前方に出てくる、ステンレスパイプによるV型の形が、二重線による組み立てとなっていることが、線と形の扱い方として、私にとって新しい試みではある。

2003年3月の個展では、線性とペイントに依拠した表現の中に、私自身を立ち止まらせたいと思い制作した。

 今、私はギャラリー檜の空間の中に、私と作品が静止している姿を想像している。

2003年2月27目配

ギャラリー檜 地図(Gallery Hinoki MAP)

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